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陳浩基『網内人』文藝春秋

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「華文(かぶん)ミステリー」という言葉があります。これは、中国語で書かれた推理小説、という意味です。近年、ミステリーにおいて中国語からの翻訳が進んでいるのは、単純に面白いからです。

ミステリーといえば、日本かヨーロッパかアメリカだよな。
そんな先入観を抱いているそこのあなた!
まずは、騙されたと思って、この本を読んでみてください。

著者の陳浩基は、香港の作家です。

2011年に、『世界を売った男』で島田荘司推理小説賞を受賞しています。島田荘司推理小説賞は、2008年に台湾で募集が開始された推理小説を対象とする文学賞です。ちなみに、島田荘司は、日本を代表するミステリー作家です。

2017 『13・67』 「週刊文春ミステリーベスト10」や「本格ミステリ・ベスト10の海外部門で第一位。香港の現代史を題材としています。

現在の香港を舞台とした作品が『網内人』です。
タイトルからなんとなくわかるように、インターネット社会の闇を描いた作品です。

ネットのいじめで女子中学生が自殺。姉が死の真相を知りたいと、ハッカー探偵に依頼をします。

読んでみてわかったのは、日本ととっても似ているということ。
中学生はスマホを使いこなし、アイドルグループに夢中になっています。貧富の格差は大きく、リッチな人は高級車に乗りハウスキーパーを雇っていますが、貧しい人は仕事に追われ必死に生きています。

地名を除けば、ほとんど日本の話と変わりません。
だから、「中国語のミステリーなんて面白いの?」などと思わず、ただ読み始めてください。すぐに物語に引き込まれてしまうでしょう。

クライマックスには「えーっ」と声を上げてしまう、衝撃の一行が待ってます。

現代のアルセーヌ・ルパンを書こうとしたと、著者自身が「日本語版へのあとがき」で書いています。確かに、ハッカー探偵が実に魅力的です。すごい能力を持った変人ですが、筋の通った素敵な人物です。シリーズ化しようと考えているらしく、今後が楽しみです。

陳浩基『網内人』は、「ハッカー探偵の大活躍を楽しみたい」あなたのための本です。

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