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開沼博『日本の盲点』PHP新書

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 特に、新書というジャンルは、気軽に手に取って、あるテーマについて概略をつかむことができる、コンパクトな本という認識を持っていた。つまり、ある種の爽快さ、「わかったぞ」というカタルシスを得られるものだ。
 また、同時に、時々、とても力強い名著が生まれてくることもあるとも思っていた。書き下ろしという性質上なのか、オリジナリティが高いものが生まれることがあるのだ。
 本書には、いろんな点で裏切られた。
 まず、書き下ろしではなかった。雑誌連載のコラムを集めたものだった。ただし、およそあとがきらしくない、濃密な「あとがきに変えて」という書き下ろしと思われる文章が巻末に収められている。
 それから、カタルシスのなさ、にも驚かされた。社会問題について論じたほとんどのコラムにおいて、著者は立ち止まっている。切れ味の良い、こうすればいいのだという結論はなく、「冷静に広い視野のもとで考え直すべきである」と終わってしまうのだ。
 そうなのだ。
 私たちが「見えていないもの」について、ちゃんと考えなければならないという指摘がたくさん詰まっている本なのだ。
 だけど確かに、今の日本の閉塞感から抜け出すためには、誰かカリスマによる力強い牽引力ではなくて、一人ひとりがじっくりとあきらめずに考え抜くほかないのだろう。
 そういうことを気づかせてくれた、名著であった。

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