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コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック』 ハヤカワ文庫

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 三大SF賞って知ってますか?

  • ヒューゴー賞
  • ネビュラ賞
  • ローカス賞

なんですけど、それを三つとも受賞してるんです。
 すごいですね。すごいですね。すごいですね。
 よっぽど面白いんですね。

 しかも、文学の香りもたっぷりと漂っていて、こういうのを「特別な一級品」というのでしょう。

 私が初めてコニー・ウィリスを読んだのは、
「最後のウィネベーゴ」
だったと思います。「こんなの初めて読んだ」と思い、ドキドキしたのを覚えています。それ以来、ファンになりました。
 
 さて、『ドゥームズデイ・ブック』です。
 新型コロナウイルスが蔓延して以来、書店では
カミュ『ペスト』とか
ボッカチオ『デカメロン』
など、ペスト流行時の社会を舞台とした作品が並んでいます。

 実は、『ドゥームズデイ・ブック』も伝染病と深い関係がある物語です。
 21世紀のオックスフォード大学から、14世紀に歴史研究のためにタイムトラベルする。シンプルだけど、スリリングなストーリーの中で、登場人物が見事に生きています。中でも、14世紀に生きる、ある人物の造形は素晴らしく、思い出すだけで泣けてくるほどです。 

 文章は簡潔に書くこと
というのが良しとされ、ヘミングウェイの文体がお手本とされたりしますが、コニー・ウィリスは真逆で、とにかくおしゃべりなのが魅力です。
 登場人物の会話も、状況説明も、とにかく書き込まれています。それなのにダラダラと感じはなく、いつまでもこの作品世界に浸っていたいと思わされます。
 14世紀の村の様子、懸命に生きる人々の様子を、まるで、実際に見てきたように活写しているのです。

 読み終わりたくない。
 読書中にこう感じる本が、もっとも魅力的な本だと思いますが、この本はまさしくそんな一冊です。1100ページもあって、なかなか読み終わりませんけど、終わりに近づくと、もっと続いて〜と思ってしまいます。

 しかも嬉しいことに、姉妹編として「オックスフォード大学史学部」シリーズとして、何冊もの本が出ています。本書はその長編第1作目です。

 コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック』、読み終わりたくない、特別の一級品です。まずは読んでみてください。

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