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小森収編『短編ミステリの二百年 2』創元推理文庫

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 ハメットもチャンドラーももちろん楽しめるのですが、一番のオススメは最後のロイ・ヴィカーズ「二重像」です。

 夫だと思った人物が他人だった。
何度かその人に会ううち、妻はソックリな人がもう1人いるのだという気がしてきます。やがて、起きる一つの事件。果たして犯人は、夫なのか、ソックリさんなのか。

 最後の最後まで、読者には真相がわからないまま、進んでいきます。普通に考えれば、夫が犯人だと思うんですけど、でも、本当は違うのかも、と物語に引っ張られていきます。

 この著者について書かれた解説が読み応えがあるんです。ロイ・ヴィカーズを中心として、倒叙ミステリーの歴史を語っています。倒叙ミステリーっていうのは、犯人側の視点から書かれたミステリーのことですね。「刑事コロンボ」のパターンですね。

 「二重像」は倒叙とは言えないんですけど、「刑事コロンボ」もからめながら、ロイ・ヴィカーズの書こうとしていたものに迫っていく、ワクワクするような解説となっています。

 このシリーズは解説が長くて嬉しいです。
収録作品のみならず、ミステリーの歴史が説明され、その中でこの短編をなぜ選んだのかが語られます。
 そうなると、どうしても、読みたくなるっていうか、読まねばならぬ、といった本が増えてきます。

特に、天才作家ダシール・ハメットについての熱い文章が印象に残ります。未読の『血の収穫』読まなければならないと思わされました。

それからもう一冊。『エラリー・クイーンの新冒険』ですね。
そうしたら、ちょうど新訳が出たのでした!

小森収編『短編ミステリの二百年2』は、「倒叙ミステリーが好きな」あなたのための本です。

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